「HPリニューアルしたいなぁ」
あくる初夏の日、この一言でホームページリニューアルの話は始まった。
それは折しも私がフライヤーを突貫作業で仕上げて間もない時だったのだが、何やら運営体制が少しずつ変わってホームページの中身がそぐわないから修正して欲しいという話であった。
まあ、アップデート程度なら……という話だったのが、蓋を開けてみるとやっぱり全面改修しようということになった。
フェンダーを電柱に擦って修理費5万で済むと思っていたら50万を余裕で超えたという友達のA君の顔が脳裏をかすめた。
「ままとりあえず既存のデザインを流用する方向でぇ、色と構成だけ変更するくらいなら割とすぐ何とかなるっすよ」
「ほなそれで頼むわ」
こんな会話を交わしていたのが遠い昔のように感じられる。
人間とは悲しい生き物である。
未来のことは未来の自分が考えるだろうと先送りにする。
そのツケが利子付きで降ってくることをしばしば忘れて。
数ヶ月後。秋が大遅刻をかましていた10月の上旬のあくる日。
「そういや補助金降りたわぁ」
「ようやくか~ほなら手をつけるっすわ」
こんな気の抜けた会話を交わして作業に着手した。
「そういや前に買ったテーマどうやった?」
「結構いい感じっすねぇ。結構使えるんちゃいます?」
「それならよかったわ」
テーマというのはホームページのデザインセットみたいなものである。
プログラミング不要!専門知識不要!
細かいデザインを考えることなく、簡単になんかいい感じのサイトを作れるのだ。
グーテンベルクの活版印刷機の次くらいにdopeな発明だと思う。

こんなez gameでお金をもらえるなんて夢みたいな仕事だな〜
…などと思っていた時期が私にもありました。
現実はいつだって悪戯に僕達を振り回すのである。
浜崎あゆみィィイイイイイ!
現実逃避はもう終わり、なんて生やさしいものではない。
強制終了である。
深夜に隠れてゲームをやっていたら親にバレてコンセントをブチ抜かれ、セーブデータごと輝かしい記録が吹っ飛んだあの頃を思い出した。
嫌な汗が出た。
いざ設計通りに作ろうとしたらテーマの利用できる部分が全然少ないではないか。
いや少ないというか一部を除いてほとんどない。
粉砕、玉砕、大制裁!
未来の自分に託した、もといブン投げたツケがウシジマくんも帝愛も裸足で逃げ出すような暴力的な利子と共に降ってきたのである。
低気圧なんて目ではない目眩と共に意識にグッバイ宣言をし、三途の川の船って早割あるのかな〜などと考えていたら
大丈夫いつだって未来は白紙〜♪
自分の価値は自分で決めるものさ〜♫
ライダースーツの大黒摩季にライドベンダーで引きずられて現世に強制送還された。
……
……
よしやろう!
結局は進むしかないのである。
alea jacta est!
賽は振られたのだ。
とりあえずは設計図通りメニューを組み立て、多少難儀しつつも各ページを実装した。
なんだ意外と行けるじゃないか。
これが経験ってやつか。
「大体組めたっすわ。後は先生とか他の人にテキストを考えてもらってはめ込んで行くだけですねぇ」
「ほんまに?ほな今日で終わりそうかなぁ」
「まあ終わるんとちゃいます?」
月曜日 夜9時。
淡いネオンの光と雨に照らされたスタジオへ
写真の選定とはめ込み、テキストのはめ込み、パソコンとスマホでの見え方の調整などをしていたらなぜであろうか。朝の7時になってしまっていた。
おかしい。こんなはずでは……
朝焼けのスタジオを後にしながらそう思った。

ちなみに上の写真はその時に撮影したものである。
腹正しいほど、もとい心のすくような綺麗な朝焼けの空と太陽に照らされたスタジオの写真である。
決闘者(デュエリスト)にしか見れない景色であるが、折角なのでお裾分けしようと思う。
火曜日 夜8時。
昨日より1時間早くスタジオに乗り付けた。
「今日は2時くらいまでに終わればええなぁ」
「まあ多分終わりますよ、そんな大した作業じゃないですしねぇ」
修正箇所を直し、足りない写真をはめ込み、SNSのリンクを繋ぎ、サイト内リンクも繋ぎ……
時計は朝の8時を示していた。
なんだ、なんだと言うのだ。
ここスタジオは精神と時の部屋とでも言うのか。
月日は百代の過客なら、時間はファストパスである。
待たぬ!媚びぬ!省みぬ!
ただ駆け抜けて往くのみ。
昨日に続き朝焼けのスタジオ、というかもはや普通に朝のスタジオを後にして帰路に着くと出勤・登校の人々で高の原の駅前は喧騒に包まれていた。

(朝焼けでもなく普通に朝。来た時間は昨日より早かったのに何故なのか…)
「みんな出勤してるっすよ」
「帰ったら即寝やなぁ」
などと会話のキャッチボールすら放棄して帰宅したのであった。
さてこの日はスタジオに行く前にクリアしなければならぬ宿題があった。
何故か前日からデザインが崩れた箇所がどうしても直らないのである。
しかし、ここで引く訳には行かないのだ。
ドン・フライ vs 高山善廣のごとくノーガードで殴りあった。
5時間の死闘の末、勝利したが、結局原因は}(中カッコ閉じ)が1つ足りないというだけ
英語文献まで引っ張り出してきてこれかよ!!!
勝利はしたものの、満身創痍な上、青筋が今にも千切れんばかりに浮き出ていた顔は概ねご想像の通りであろう。
やはりIDEではないエディターはダメである。
敢えて言おう。カスであると!
水曜日 夜9時半
死闘を超えた私はもはや天下無双の心持ちでスタジオに意気揚々と乗り込んだ。
5時間の死闘を経た者だ。
面構えが違う。
先日の反省を活かし、作業を迅速に完了することを目指した。全体の色調整、文字サイズ調整、トップページ調整、お知らせの作成……
気づけば朝の11時である。
??????????
ご愛読ありがとうございました!何某先生の次回作にご期待ください〜
・・・
まだだ、まだ終わらんよ!(cv.赤井秀一)
終わらんというか終われんというか終わらさなければ帰れんのである。
地下強制労働施設改めSmoothの地上“任意“労働施設から解放されんが為には、とにかくやるしかない。
個別の時間割掲載・スケジュール更新・告知用のインスタ広告の作成を経て作業が完了したのは15時半であった。

(よく見る午後のSmoothです。太陽が眩しいね!)
時間にして18時間の休憩なしぶっ通し作業、おそらくブッチギリでSmooth滞在最長記録であろう。
休憩?そこになければないですね……
労基法?ちょっと何言ってるかわからない
(ちなみに、私もYu先生も法学部出身である。法規遵守とは一体…)
ということで努力!友情!勝利!
(友情あったっけ……)
で新しいHPが完成したわけである。
終わりよければ全て良し!(強引)
・・・・・
斯様な紆余曲折を経てこのホームページは完成したわけである。
もちろんプロの先達諸兄の方々の目からしたら至らぬところも多々あるだろうが、そこには今後の成長を期してお目溢しいただきたい。
このサイトを作る過程で学ぶことも多くあり、成長の機会に恵まれたことは幸運であったと共に、今後の課題を痛感させられる所も多々あった。
しかし、それよりも何よりもSmoothにいつも来ている方、そしてこれから来られる方への一助となればこれに勝る喜びはない。
そして、3日間に渡り徹夜作業に付き合ってくれたYu先生、SEO対策を快く引き受けてくださったコンサルの方、何よりもSmoothに来てくださり、いつも支えてくださるSmoothのファミリーの皆様、そしてこの長い文章を最後まで読んでくださった忍耐深き読者の方へ最大の感謝の辞を持ってこの拙文を締めくくりたい。
2025.11.01 HP開発 万屋 何某
コメント